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マンション普及の歴史

みなさま、こんにちは!
THEグローバル社のスタッフブログをご覧いただき、ありがとうございます!

日本最初のマンションはどこに建設されたかご存知でしょうか?

正解は「軍艦島」です。

現在では当たり前のように普及しているマンションですが、その歴史はまだ100年を超えたばかり。
戦前・戦後でのマンションの歴史を振り返ってみましょう。

1.戦前

第2次世界大戦以前には、集合住宅の多くは木造の下宿、寮などであり、現在のマンションに相当する住宅はほとんど存在しませんでした。

当時は、RC造の建設技術が普及していなかったことに加え、洋室を中心とした住まいは和室になじんだ多くの人々にとっては数奇なものに感じ、家賃の高さも相まって、このような住宅は文化人や外国人などの限られた層が居住者でした。

マンション普及の歴史

また、1916年長崎県端島(軍艦島)では、日本最初のRC造7階建ての集合住宅である30号棟が炭坑労働者向けの社宅として建設され、以降も昭和中期まで続々とRC造の集合住宅が社宅として建設され続けました。

一般市民を対象としたものとして最も古い事例は1923年東京市営古石場アパートが、関東大震災復興の住宅供給にあたった同潤会により建設されました。

同潤会は応急仮設住宅や木造の戸建て・長屋建ての住宅も多く建設しているが、特筆されるのは1926年から1934年にかけて、東京および横浜の16か所に約2800戸が建設されたRC造の集合住宅があります。
これらは総称して「同潤会アパート」と呼ばれ、震災復興の区画整理に伴うもの以外にも不良住宅地改良、郊外開発、勤労女性専用など多様な集合住宅が供給されました。

同潤会アパートの特徴としては、RC造による耐震性の確保と不燃化を実現しただけでなく、模範となる集合住宅の実現を目指して、水洗トイレ、ガスコンロ、ダストシュートなどの当時では最新の設備を導入したほか、使い勝手を考慮した間取り、居住者間のコミュニティ形成を促進しようとする屋内外の共用空間の設置、町並みを意識した住棟配置や立面のデザインなど現在の基礎ともいえる点を多く持っています。

2.戦後のマンション出現と法整備

日本において集合住宅が本格的に普及するのが戦後のことです。

そのはじまりとなるのが都営高輪アパート(1948~1949)であり、RC造の住棟と標準設計の住戸を取り入れたものでした。
戦後の住宅難を解消する方策の一つとして1955年に日本住宅公団が設立され、1956年には金岡団地、牟礼団地、古市中団地が次々を竣工し、以降、地方自治体による公営住宅とともに日本各地に団地が広まってゆくことになります。

いわゆる分譲マンションとしては、「宮益坂アパート」(1953)が最初の例とされています。
これは東京都が住宅難解消と土地の高度利用、不燃化などを目的に渋谷駅前の繁華な立地に建設し、分譲した店舗(1階)、事務所(2~5階)、住宅(5~11階)からなる複合高層ビルであり、住宅は全70戸でした。

民間の分譲マンションの第一号となるのは、「四谷コーポラス」(1956)であり、5階建てRC造の28戸からなるマンションです。住戸はメゾネットとフラットがあり、水回り以外はオーダーメイドの設計となっています。

翌1957年に竣工した「東急スカイライン」は地上9階地下1階の民間初の高層分譲マンションです。
初期の分譲マンションは、都心に立地する総住戸数の少ない小規模なものでした。設備や内装の充実などもあり、当時としてはかなり高価であり、購入層も企業や高額所得者が多かったと言われています。
管理も分譲会社の管理部門が区分所有者と個別に管理委託契約を結ぶというやり方が多く、現在一般的なく分所有者が結成した管理組合が管理会社に委託するという方法とは異なっておりました。

分譲マンションが普及するにつれて、従来の民法で規定されている所有権では、専有部分と共用部分に分かれるマンションの所有権を明確に規定することが難しい事が明らかになり、民法の原則の例外となる特別法として区分所有法が1962年に制定されました。
これにより、所有権が明確になるとともに、区分所有者全員によって構成される管理組合による共用部分の管理が可能となりました。

マンション普及の歴史

1963年には建築基準法が改正され、「高さ規制」が撤廃され、新たに「容積地区制度」が導入され、これまで以上の容積を持つ建築物の建築が可能となりました。

その他にも高層建築物の避難規定やエレベーターの構造規定が前後して制定されるなど、マンションに関する法制度が徐々に整えられるとともに、様々な建設技術の開発も進み、中高層のマンションが普及する環境が準備されていきました。
以降、経済状況や社会情勢の変動と関連しながら何度かのマンションブームを経て、現在に至っております。

現在では資産価値等の側面に目が向けられがちなマンションですが、今のマンションが出来上がっていった背景を知るとともに、元々の「住まい」としての価値に再度目を向けてみてはいかがでしょうか?